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『未完のレーニン<力>の思想を読む』白井聡 講談社選書メチエ

レーニンの問題作、『何をなすべきか?』と代表作『国家と革命』。
社会主義革命の実践者たるレーニンの思考をたどる。
ただの机上の空論でもなく、日和見主義でもない、本当に夢みたいな理想をひたすら現実的な視点で、実現させたすごさ。確かにレーニンの描いた夢は夢でしかなかったことは20世紀を終えた今なら簡単に一笑にふせる。でもそれはやはり今見直してもすごいことだったし、そして彼が向き合った資本主義社会の諸問題は、彼の夢が潰えた今、さらに悪化しているように思える。

たぶん、白井さんの言いたいことの一つはそういう今だからこそ、レーニンを知ろうということだろう。そして彼は2011年3月11日のあの日から、そのレーニンをふまえつつも新たな何かと向き合っている。
レーニンをたどっていない自分のような人間はだからこそ、2011年3月11日を経過した今でも、やはりこの本と出会えたことはよかったのだろう。
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『日本文化の論点』宇野常寛 ちくま新書
うーん・・・消化不良。本気を出していない完全版セルと戦うベジータの気分。
たぶん、本気出されたらあっという間にこてんぱんになるんだろうけど。

個人的に印象的だった箇所は、特撮監督の円谷英二が戦時中は戦意高揚映画を撮影したという話。戦後のウルトラマンは貧弱な日本の軍、謎の外部からの侵略者、それを守るヒーローという流れは冷戦を意識したものだったという話。なるほど、そう考えたら、メトロン星人の人を信じられなくするタバコの原材料である実は赤くなければならないし、日本のアパートでちゃぶ台ごしにウルトラマンとメトロン星人が交渉をするのもなかなかに意味深だし、最後のナレーターは本当に深い。

とても読みやすい本だったし、AKBがすごいということもなんとなくわかったんだけど、個人的な印象としてはもう少しぶつけてきてほしかったなあ・・・という感じ。
1日で軽く読めたし、まあよかったのかな・・・。
軽めの新書を読んでて「ああ、この人、力を抜いて書いてるなあ。本気が読みたいなあ」と、感じることがある。往々にしてその人の本気を読むと、途端に太刀打ちできなくなる。
なんか、ドラゴンボールでもよくあるなあ、と。
「やってみろよ」「じゃあ、少しだけ」的なセルとベジータの対峙を思い出したり、ああいうの。
『定本夜戦と永遠 フーコー・ラカン・ルジャンドル』(下)佐々木中 河出文庫
ボリュームある上下巻の下巻。
だいぶ前に購入したのだが、出だしの「歯ごたえ」に今は読めないと思って本棚に安置してた。
ネット上で見つけた図書新聞の佐々木中インタビューを見て、「素人の鷲掴みな読み方」でもいいんだ、と佐々木さんの言葉に焚き付けられ、この夏、読んだ。
結果として言えば、理解できたとは到底言えない。特にフーコーについて書かれた下巻後半については進むにつれてよくわからなくなった。

それでも、読んだ甲斐はあったように思える。
今、ここがよかったとか、この点がしっかり記憶に残っている、という点はない。
これからの中でまた「ああ、こういうことが書いてあったなあ」ということを思い出すのではないかと思う。
そしてまた、気が向いたら読み直すのではないか、と思っている。
この間、NHKプレミアムでやってたこの番組、思いのほかおもしろかった。
テーブルトークRPGに似たゲームマスターとプレイヤーによる物語作成ゲーム。ゲームマスターのムロツヨシをはじめ、芸達者なキャストによるゲーム展開。サイコロの偶然性がないので少し物足りなかったが短い時間で楽しめるすごい番組でした。
しかし、最初はムロツヨシはともかく他の人たち、アドリブってどうなんやろ、と思ったが、みんな芸達者。ああ、このキャストだから楽しいんだなと思える。
連続番組ではなさそうなんだけど、またやってほしいなあ。
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