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海老原嗣生さんの『就職、絶望期「若者はかわいそう」論の失敗』(扶桑社新書)を読了。昨今、「にわか論者」による若者の雇用問題の議論についてその根拠をつきつめ、当たり前とされている思考を覆させる。特に一部の偏差値上位大学ではない多くの他大学の学生の将来と中小企業に焦点を充てる。政策面の問題も取り上げており、いろいろと若者を元気づけてくれるような気がした。大学1,2年生や進路に悩む学生と接する大学職員とかに向いた本な気がした。
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『トポグラフィの日本近代 江戸泥絵・横浜写真・芸術写真』
佐藤守弘 青弓社

江戸泥絵とは、江戸時代に参勤交代で地方より江戸に来る下級武士のお土産として江戸屋敷を描いた風景画のこと。強い遠近法と「プルシアン・ブルー」という独特な青を使用した絵。
横浜写真は、明治時代になってから外国の観光客用に撮られた「日本らしさ」を強調した西洋の文明に「毒されていない」土着の姿を主とした写真。
芸術写真は、日本人が「風景」を「発見」した近代、記録としてではなく、表現の主体として撮影された写真である。しかし、その芸術写真は絵画でも写真でもない雑種という評価さえされてしまっている。

江戸泥絵も、横浜写真も、芸術写真もいずれも従来は芸術としても記録としてもあまり評価をされてこなかったようである。
筆者は、これらのものをアイデンティティを確認する装置として焦点を充てる。
私が印象に残ったのは、「どこにでもありそうなもの」を切り取ることで、個々人の中に郷愁や帰属意識、連帯感を生み出そうとする行為としてこれらについて筆者が論じた点にある。筆者が紹介したものの中に童謡「ふるさと」がある。
ふるさとの歌詞は多くの日本人が郷愁を誘われるものである。私自身、あの歌にあるようなふるさとは全く原風景としてはない。しかし、あの歌を聴くと「ああ、いいなあ」とか、「ふるさとかあ」などと思う。私と同様に、あのような風景を幼い頃に体験せず、しかしあたかも日本の象徴としてあの歌を認識している人は多いのではないか。私は、このようなある種の虚構としての原風景を生み出す行為に興味を持った。
昭和歌謡の1つ、「木綿のハンカチーフ」も、地方から働きに出た人々の姿にシンパシーを持った当時の人々に受けたのだと思う。今ではあの歌の内容は理解できない人々も増えたのではないか。あれも昭和の「ふるさと」ともいえる。

あるいは明治以降の平安神宮や時代祭りなどの京都の「京都らしさ」という虚構。

いろいろと想像を膨らませることができる。非常におもしろい本だった。
『モードの迷宮』鷲田清一 ちくま学芸文庫
たぶん、ファッションを勉強するなら最初の方に読んでおくべき本だよなあ、と思いながら、周りにファッションを勉強している人が多いというのに、この間初めて読んだ。
大阪大学の学長をされていて現在は大谷大学におられる著者による本書は表紙は悩ましいコルセットに身を包んだ女性の肢体。表紙は悩ましいけど中身はそんなわけないじゃんと思ったら内容はとってもエロティック。もちろんそれだけではない。服を着ることは慎み深いことか?服ってそもそもなんのためにあるのよ、と、主に女性の服装の変遷を描いた本書は、服のデザインに見られるどう見せたいか、というものをデザインと、プレイなどをもとに解説する。難解だけどふむふむと思うこともしばしば。とても勉強になったけど、1回じゃ理解できない。何度も読むべきだろうが、これをとっかかりにいろいろな本を読んでいけばよいのだろう。名著。
しかしこの本が『マリ・クレール』で連載されていたものだというのが驚き。当時のおしゃれな女子はこれをどう読んでいたのだろう?
『アンダンテ・モッツァレラ・チーズ』藤谷治 小学館文庫
これもなかなかメモが書けていなかった本。
ストーリーテラーというか、プロの作家という言葉が多分ふさわしい
藤谷治さん。一作ごとに作風を変える作者による本作は不思議なムードを
漂わせたリズミカルなドタバタコメディ。医療系の資料を病院や大学などの
専門家に提供するビジネスを提供している企業で働く人々。体中に不思議な
タトゥーを入れているヒロイン。その博覧強記男の恋人。下北沢路上美形
弾き語り男。謎のお金持ち令嬢。ハードボイルド映画おたく。
こういった一筋縄ではいかない人々が不思議な縁で仲良くなり、面白おかしく
何気ない日常の果てにタトゥーフェチの上司の男のせいで単なる日常コメディが
最後はドタバタコメディになる。
とにかく勢いのついた作者の文章をリズミカルに一気に読む。この本の楽しみ方
はたぶん、そこにある。
『求愛瞳孔反射』穂村弘 河出文庫
例によって以前読んだけど、メモし忘れていた本(たぶん)。
歌人、穂村弘さんの歌集。

求愛ということでなんだか変な穂村さん流の恋愛歌集。
はじまりから終わりまで。不思議な中にのんびりした感じと
不気味さも兼ね備えた歌集。不思議なムードが漂っている。
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